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ISO9001 品質マネジメントシステム

I.広がるISO

商取引のグローバル化→均一な商品の供給→共通のものづくりシステム

近年、欧米から商取引の急速なグローバル化が進行し、産業界では取引き先の品質保証能力を評価するための世界的な標準が求められていました。そのような気運を受けて、国際標準化機構(ISO)は、世界的に統一された産業上の管理標準として、1987年ISO9000を「国際規格」として制定しました。ISO9000は企業の自主管理を基本にしたシステムであり、顧客に対する自己管理責任を約束するものです。
日本では、当初主にヨーロッパに輸出する企業が必要に迫られて取得していましたが、現在では輸出を理由にISOを取得する企業は減り、むしろISOを「管理システム」の一手段ととらえ、体質強化を目標とする企業が増えています。また、最近ではこのシステムが、企業の「顧客の要求する品質を提供できる」能力について審査・認定する仕組みを持っていることより、企業が取引先の品質管理能力を判断するあるいは評価するための1つの基準として用いる事例が増えてきています。
ISO9001は、1994年版から2000年版への改定により、顧客満足を目指す継続的改善のためのシステムへと成長し、2008年版の追補でその要求事項がより具体的に示されるようになりました。

ISO9001は製品の品質を管理する仕組みの規格 ≠ 製品の規格

ISO9001は製品・サービスの品質の良否を決める規格ではありません。顧客が求める一定の品質の製品・サービスが常に提供されるような仕組みを作り、顧客と約束したことを果たすことにより顧客の満足を得るための規格です。
この規格を取り入れることにより、顧客要求を満たす製品・サービスを提供するための品質管理の仕組みとともに、それを継続的に改善し、顧客満足を向上するマネジメントシステムを作ることができます。

取得企業の広がり→製造業からサービス業へ

日本でのISO9001の取得件数は5万5千件近くになりました。当初は製造業、中でも電気関連企業の欧米へ輸出するための取得ラッシュがあり、そのため現在もその割合が高いが、近年サービス業の取得が急増し、流通業、病院、地方公共団体など業種に関係なく取得を目指す企業・団体が増えてきています。

II.ISO9001の初歩

1. ISO9001とは?
  (a) 顧客への品質保証のための管理の仕組みで、品質のスペック(絶対値)を定めたものではありません。
  (b) 顧客と約束した製品・サービスへの要求事項を満たし、それを継続的に改善し顧客満足を向上していくためのマネジメントシステム(管理の仕組み)です。
2. 企業経営へのISO9001のメリット
  (a) 企業が、顧客の満足する均一な品質を常に提供できること(品質保証能力)を証明します。
  (b) 企業の品質保証能力に対して取引先、顧客から信頼感を得ることができます。
  (c) 取引先、顧客、公的機関などが企業の品質保証能力を評価する場合の基準となります。
系列からの要求、競合他社との差別化、公官庁入札の評価項目など、ISO9001の認証の意義が業界及び社会的に受入れられてきています。
  今後、系列からの要求、競合他社との差別化、公官庁入札の条件などが取得のより具体的な動機となると思われます。
3. この規格の取得認定は?
  国際標準化機構(ISO)−日本では相互認証している(財)日本適合性認定協会(JAB)などより認定を受けた機関(日本品質保証機構JQAなど)が、企業のISO9001規格に従った品質マネジメントシステムの構築、運用状況を審査し合格すれば認証を与えます。
4. 実際のこの規格の内容は? 
  23項目135の要求事項(しなければならないこと)(表1)をもれなく実行することにより、規格の目的を達成するための品質管理システムが確立するようになっています。
  (a) 経営トップは品質に対する責任を明確にし、顧客満足を達成するための方針を出し、リーダーシップを発揮しなければなりません。
  (b) 企業固有のやり方をマニュアル・手順書に文書化し、それに従った作業を行い、対外的な証拠となるように記録を取ります。
  (c) 定期的に運用状況をチェックし、継続的に品質管理システムの改善を行い、有効性を確認します。


III.ISO9001の内容

標準化→文書化→実行→記録
1.  やり方を決め、実行し、記録する
 

ISO9001の規格がしなさいと言っていることは、「ISO9001が定めた管理の仕組みに対して、貴社では具体的にどのようにするか決めて行いなさい」です。ISO9001では、注文を受け、製品を作り、出荷する/サービスを提供するための手順やルールを、規格の要求事項に従い、大企業は大企業なりの、中小企業は中小企業なりの自分たちのやり方で決めなければなりません<標準化>。やり方を決めたら、統一できるように、それを紙に書いて見えるようにすることが重要です<文書化>。「□□する」と言うだけで従業員に徹底するのは困難です。Aさんに聞くと◇◇すると言い、Bさんは▽▽すると言っています。これでは品質管理はできません。
次に決めたことをその通り実行し<実行>、その結果を記録します<記録>。「当社では○○について△△しており、それはここに決めてあります。これがその通り行った結果の記録です。そうして作られる製品/提供するサービスがこれです。」と具体的に示すことで、真にお客様の信頼を得ることができます。

 
 計画(標準化)Plan → 実行Do → チェックCheck → 処置・改善Act 
2.  やり方を定め、その通り実行し、出来ているかチェックし、改善する
  業務のやり方を決め(計画Plan)、その通り実施Doし、決められた通り、計画した通りできたかどうか、顧客の満足を得られるようにできたかどうかチェックCheckし、できていないところ、不足があれば適切に処置し、改善Actする。これによって、会社の品質管理の仕組みがより一層改善されます。これをPDCAサイクルといいます。
PDCAサイクル
 
3.  ISO9001規格の要求事項
表1.ISO9001の要求事項一覧
 
条項番号 要求事項
第4章 品質マネジメントシステム
4.1  一般要求事項
4.2  文書化に関する要求事項
第5章 経営者の責任
5.1  経営者のコミットメント
5.2  顧客重視
5.3  品質方針
5.4  計画
5.5  責任、権限及びコミュニケーション
5.6  マネジメントレビュー
第6章 資源の運用管理
6.1  資源の提供
6.2  人的資源
6.3  インフラストラクチャー
6.4  作業環境
第7章 製品実現
7.1  製品実現の計画
7.2  顧客関連のプロセス
7.3  設計・開発
7.4  購買
7.5  製造及びサービス提供
7.6  監視機器及び測定機器の管理
第8章 測定、分析及び改善
8.1  一般
8.2  監視及び測定
8.3  不適合製品の管理
8.4  データの分析
8.5  改善

第7章に関しては、正当な理由があれば一部の条項を除外できます。

 
4.  ISO9001の重要なキーワード<8原則>
  (1) 顧客重視:顧客のニーズ・期待を把握し、満たす。
  (2) リーダーシップ:経営者は企業の方向を決め従業員が企業の活動に十分に参加できる環境を作る。
  (3) 人々の参画:全ての従業員が企業の活動に参加することにより企業の目標が達成できる。
  (4) プロセスアプローチ:企業の活動を業務(プロセス)の集まりとして管理する。
  (5) マネジメントへのシステムアプローチ:プロセスの集まりを一つのシステムとして管理する。
  (6) 継続的改善:企業活動の有効性を継続的に改善することを永遠の目標とする。
  (7) 意思決定への事実に基づくアプローチ:意思決定はデータ及び情報の分析に基づく。
  (8) 供給者との互恵関係:企業と供給者は相互に依存しており、互いに価値創造能力を高める。
プロセスアプローチ
  ISO9001による品質マネジメントシステムを構築するに際して、プロセスアプローチが推奨されています。業務(プロセス)のあるべき姿、計画値を達成するために、その業務に入ってくるもの、出て行くもの、必要な人材、設備・機器、業務の手順・方法などを運営管理します。業務(プロセス)の実績をチェック・分析し、継続的に改善すること(PDCA)をプロセスアプローチといいます。
継続的改善
  業務(プロセス)につながる部署の目標/業務(プロセス)の目標を定め、それを達成するための活動を実施し、チェックし、企業実績のレベルアップにつなげることを継続的改善といいます。
継続的改善は、管理の仕組み、業務活動(プロセス)の手順、製品/サービスの品質、その他経営に関することについて、少しでも改善し向上させようとするもので、そのキーとなる活動は、PDCAサイクルのAアクション(処置・改善)です。
5.  ISO9001品質マネジメントシステムの構築
ISO9001のシステムは現状からスタートします 
  それぞれの企業にはこれまで信用ある製品/サービスをお客様に提供してきた実績があります。それがいざISOとなると今まで気にしなかったことが気になり、こうあるべきだとの理想に走って、やってもいないことまで決めると実行ができなくなり、結局自分の首を絞めることになります。いま会社でやっていることをまず手順・ルールにすることが重要です。その後不足しているところがあれば加え、変更が必要になれば必要なところを変えるように継続的改善を実施していきます。
6.  仕組みは文書で作られます
  IISO9001によるシステム構築は、文書作成で行います。ISO9001規格の個々の要求事項に対して、当社ではどのようにするのか決め、それを必要な範囲で文書に定めていきます。
 

IV.継続的改善、顧客満足の向上

ISO9001の真髄は、「システムをレベルアップし顧客満足を勝ち得ているか」にあります。

永続する企業は、変革し、継続的に実績をレベルアップしていかなければなりません。顧客の要求するニーズもまた停滞しない、常にレベルアップしてきています。顧客満足を勝ち得るよう継続的に改善できない企業は衰退していきます。
顧客の求めるニーズを先取りし、目指す目標を立てて、それを満たしていくことが顧客満足の向上であり、永続する企業の目指すところです。

V.導入のスケジュール

まず何よりも重要なのは、経営トップの不退転の決意とリーダーシップが必要です。忙しさを理由に後回しや、中断すると再開は大変難しいものです。
一般化すると次図のように、1年足らずの活動になりますが、期間は各社それぞれの規模や業務内容、取得活動の程度により異なります。(表-2参照)

品質マネジメントシステム構築基本プログラム


認証取得活動スケジュール
支援項目/活動項目
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
ISO9001規格要求事項の理解                      
文書作成(システム構築)            
 ・品質マニュアルの作成                    
 ・規定類の作成                    
 ・業務フローの作成                    
 ・手順書類、帳票の整備、作成                    
システムの運用            
システムの教育(運用状況チェック)                
 ・内部監査員養成(2日間)                      
 ・内部監査実施                      
 ・マネジメントレビュー                      
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